歯周病の原因はなぜ歯みがきで落ちない?
溝の中の話【草加・獨協大学前】
毎日きちんと歯をみがいているのに、歯ぐきが腫れる。検診のたびに歯石を指摘される。そう聞くと「みがき方が下手なのだろうか」と感じてしまいますが、話はもう少し単純ではありません。歯周病の原因になる細菌が育つ場所が、歯ブラシの毛先が届く範囲の外側にあるからです。
歯と歯ぐきのあいだには、ぐるりと一周する溝があります。この溝の内側と外側では、住んでいる細菌の顔ぶれも、落とすための手段もはっきり分かれます。この記事では、その境目を軸に「なぜ歯みがきだけでは追いつかないのか」を説明します。歯周病そのものの成り立ちは当院の歯周病のページで扱っていますので、そちらもあわせてどうぞ。草加で歯ぐきのことが気になっている方に読んでいただければと思います。
歯と歯ぐきのあいだには溝がある|
育つのは見えている表面ではない
鏡で歯を見ると、白い歯とピンク色の歯ぐきが接しているように見えます。しかし実際には、ぴったり接着しているわけではなく、歯ぐきの縁は少しだけ浮いていて、歯の表面との間に細い溝ができています。健康な状態でもこの溝は存在します。
「歯ぐきの縁」を境に、世界が二つに分かれる
この溝の入り口、つまり歯ぐきの縁を境にして、上側と下側では条件がまるで違います。上側は空気に触れていて、歯ブラシの毛先も唾液も届きます。下側は歯ぐきに覆われていて、空気も道具もほとんど入りません。同じ一本の歯の表面なのに、環境が切り替わるのです。
環境が違えば、そこで増える細菌の顔ぶれも変わります。空気があるところで元気に増える細菌と、空気が少ないところを好む細菌は別の種類です。歯周病に関わるとされているのは、後者のほうに多く含まれます。
細菌は膜をつくって居座る
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、プラーク(歯垢)を「食べものの残りカスが歯の表面につき細菌が繁殖したもので、白くねばねばしています」と説明しています。さらに「プラーク1mgのなかには、およそ300種類1億個ものの細菌が存在」し、「粘着力があり、水に溶けない」という点も挙げられています(参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「プラーク / 歯垢」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-031.html )。
水に溶けない、という点が大事なところです。食べかすなら口をすすげば流れますが、細菌が膜をつくって張りついたものは、すすいだくらいでは動きません。物理的にこすり落とすか、専用の器具で崩すかしないと、そこに残り続けます。
そして、細菌は溝の奥に向かって進む
同じページでは「プラークの細菌は、歯根に添って歯ぐきの奥深くまで繁殖していき」、「細菌の作り出す毒素によって、歯を支えている骨(歯槽骨)がダメージを受けて、溶けてなくなっていくのが歯周病」とも説明されています。つまり細菌の居場所は、表面にとどまらず、歯の根に沿って下へ移っていきます。
ここで困るのは、進んだ先ほど道具が届かなくなることです。奥に入るほど落としにくくなり、落としにくいほど長く居座る。この循環が、歯みがきを頑張っているのに歯ぐきが落ち着かない、という状況の背景にあります。
縁より上と縁より下で、
何が違っているのか
二つの場所の違いを並べてみます。同じ「汚れ」という言葉でくくられていても、性質も扱いも別物だということが見えてきます。
| 見る点 | 歯ぐきの縁より上 | 歯ぐきの縁より下(溝の中) |
|---|---|---|
| 歯ブラシの毛先 | 縁より上:当て方しだいで届く。鏡で見ながら確認もできる | 縁より下:ほとんど入らない。入り口の数ミリが限界 |
| 周りの環境 | 縁より上:空気と唾液に触れている。食事や会話で動きがある | 縁より下:歯ぐきに覆われ、空気が少なく動きも乏しい |
| 増えやすい細菌 | 縁より上:空気があるところで増える種類が中心 | 縁より下:空気の少ない場所を好む種類が居つきやすい |
| 硬くなったとき | 縁より上:白っぽく、目で確認できることがある | 縁より下:色が濃く、歯ぐきに隠れて外からは見えない |
| 落とす役割 | 縁より上:毎日のセルフケアが主役。回数を重ねることに意味がある | 縁より下:器具を使った処置が主役。回数より、一度で取りきることが求められる |
この表で伝えたいのは、上下に優劣があるということではありません。担当している人が違う、ということです。縁より上は毎日の手入れが受け持ち、縁より下は歯科医院が受け持つ。どちらが欠けても、片方だけでは追いつきません。
歯みがきに意味がない、という話ではない
ここまで読むと「では毎日みがいても無駄なのか」と思われるかもしれませんが、逆です。縁より上をきれいに保っておくことは、下へ供給される材料を減らすことにつながります。上が汚れたままだと、下へ入り込む分も増えていきます。毎日の手入れは、溝の入り口で足止めをする役割を果たしています。
そのうえで、すでに奥に入ってしまった分は道具を変える必要がある——この二段構えが、歯ぐきの手入れの基本的な考え方です。
みがく時間を延ばしても、境目は越えられない
時間をかければ奥まで届くのではないか、と考えたくなりますが、ここは時間の問題ではありません。毛先が物理的に入らない場所は、何分こすっても触れないままです。むしろ長く強くこすることで、縁の歯ぐきを削ってしまったり、歯の根元をすり減らしてしまったりすることがあります。
ですから、歯ぐきの調子が上向かないときに「もっと長く、もっと強く」と方向を伸ばすのは、あまり良い手ではありません。当て方の角度を変える、道具を足す、あるいは届かない範囲を医院に任せる。この三つのどれかに切り替えるほうが、結果として早く落ち着きます。学生の方や、朝の支度が慌ただしいご家庭では、時間を増やすより狙いを絞るほうが現実的でもあります。
溝が深くなると、境目の位置も動く
炎症が続くと、溝は少しずつ深くなっていきます。深くなるということは、道具の届かない範囲が広がるということでもあります。初期のうちは入り口に近い場所で止まっていたものが、深さが増すにつれて手が入りにくくなる。早いうちに手を打っておくことに意味があるのは、この点にあります。
もっとも、深さは自分では測れません。鏡で見えるのは縁より上の部分だけですから、その下がどうなっているかは検査をして初めて分かります。深さは一本ごとに、しかも同じ歯でも面ごとに違いますので、「全体的にどうか」ではなく「どこが深いか」という見方になります。当院で行っている検査の中身については、予防歯科の記事でも触れています。
歯の表面で起きることとは、別の話
同じプラークでも、歯の表面を溶かす方向に働くと虫歯になります。溝の中へ入って支えの組織に影響する方向に働くと歯周病です。出発点は同じでも行き先が違うので、対応も分かれます。歯の表面側の話は虫歯治療のページで扱っています。
草加・獨協大学前で
溝の中の状態を確かめるには
自分では見えない場所のことを、見えないまま気にし続けるのはしんどいものです。一度測って数字にしてしまえば、どこが浅くてどこが深いのかがはっきりして、毎日の手入れの狙いどころも定まります。
見えない場所をどう扱うか、三つの考え方
- 見えないものを想像で判断しない。深さは測ってもらってから考える
- 縁より上は自分の担当と割り切り、道具と当て方をそこに集中させる
- 縁より下は任せる場所と決めて、間隔を空けすぎないようにする
草加市にお住まいで学校やお仕事の予定が読みにくい方も、時間帯を固定してしまえば案外続きます。当院は獨協大学前駅のすぐそばですので、講義や勤務の前後に立ち寄っていただけます。ご家族で来られる場合は、同じ枠にまとめてしまうほうが予定を調整しやすいというお声もいただきます。
当院でできること
- 朝10時30分から夜20時30分まで、休診日を設けずに診療しています。夕方以降の枠もご用意できます
- 溝の深さを一本ずつ測り、浅い場所と深い場所を分けてお伝えします
- 個室の診療室にて、測定した値と口の中の画像を並べてお見せしながらお話しします
- 歯科用CTとマイクロスコープがあり、外側から確認しづらい部分も画像で共有します
- 大型駐車場を備えていますので、ご家族の送り迎えと合わせた通院にも向いています
- WEBとLINEからのご予約を24時間お受けしています。ご相談だけでも構いません
よくある質問
溝の中の汚れは、フロスや歯間ブラシでも届かないのですか?
歯石を取ったあと、また同じところに付くのはなぜですか?
電動歯ブラシを使えば溝の中まできれいになりますか?
洗口液でうがいをすれば、溝の中の細菌は減らせますか?
溝が深いと言われました。浅くすることはできますか?
まとめ|歯周病の原因は、
歯ぐきの縁の内と外で扱いが分かれる
歯周病の原因となる細菌は、歯ぐきの縁を境にして性質も落とし方も変わります。縁より上は毎日の手入れの担当、縁より下は歯科医院の担当。歯みがきで落ちないのは腕の問題ではなく、そもそも道具が入らない場所だからです。
見えない場所を想像で心配し続けるより、一度測って数字にしてしまうほうが気持ちも楽になります。草加・獨協大学前で歯ぐきが気になったら、まず溝の深さを確かめるところから始めてみてください。
歯ぐきの溝の状態を調べるときに知っておきたいこと
注意点
- 溝の深さを測る際、炎症のある場所では軽い痛みや出血を伴うことがあります
- 測定値は器具の当て方や歯ぐきの腫れ具合によって前後するため、一度の数字だけで断定はしません
- この記事の上下の区分は理解を助けるための整理であり、実際の口の中はより複雑で個人差があります
- 縁より下の処置を行ったあと、歯ぐきが引き締まる過程で歯が長く見えたり、しみたりすることがあります
- 日々の手入れは歯ぐきの状態を保つ助けになりますが、進行を止めきれるとお約束するものではありません
- レントゲン撮影は必要性を判断したうえで行い、妊娠中の方には事前にご相談します
おおよその費用
溝の中を扱う処置は、健康保険を使って受けていただけるのが通常です。あわせて行う状態の確認や、道具の当て方のご案内も同じ枠に含まれます。点数は行った内容ごとに国が定めており、その合計にご自身の負担割合を掛けた金額を窓口でお支払いいただきます。範囲を分けて数回で進める場合は、来院のたびにその日の分をご精算いただく形です。金額の一覧は当サイトには置いておりません。
ご家族でまとめてのお支払いにも対応しており、カードと現金のどちらでもお受けしています。
記載理由
医療広告ガイドライン(平成30年6月1日施行)の考え方をふまえ、歯ぐきの手入れについて調べている方が、自分でできる範囲と医院に任せる範囲を区別したうえで受診を検討できるようお伝えしています。
※歯ぐきの状態や進み方には個人差があります。※保険診療の自己負担額は負担割合により異なります。
歯周病の関連記事
-
監修 / 医療法人社団 翔翼会
理事長 村上 翔 - 私たちが実践するのは、あなたを“患者”ではなく「お客様」として丁寧にもてなすホスピタリティと、「大切な家族や友人にしてあげたい診療」です。大学病院レベル以上の設備と衛生環境を整え、一人ひとりのお客様に心から寄り添いながら納得していただけるベストな治療法をご提案してまいります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。歯ぐきの溝の状態は、検査を行って初めて分かるものです。ご自身での判断は避け、歯科医院で確かめていただくようお願いします。
患者様の満足度調査を
実施しております。
少しでも患者様にとってより良い⻭科医療を提供するため、 第三者機関のNPO法人 日本⻭科医療評価機構に依頼をし、患者様の満足度調査を行っています。 患者様の率直なご意見をいただき、 改善すべき点は真摯に受け止めていきたいと思っています。当院には患者様の個人情報は一切伝えられませんので、是非、皆様の忌憚のないご意見をお聞かせください。NPO法人日本⻭科医療評価機構の調査結果はバナーよりご確認ください。
日本⻭科医療評価機構は、ネットで⻭医者を検索してみたが、どこに行けばいいか分からない、 診療時間や場所のメリットだけではなく、本当に信頼して通える⻭医者を探したい、 そんな患者様のために本当に信頼して通える⻭科医院を評価・認定することを目的とした組織です。